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夢十夜
〜見た夢の記録〜
******―第一夜(3/8〜3/9)―******
「もう少し採掘道具を持ってきてくれ。」
父は俺に向かってそう言った。
ここは山の中腹にある遺跡だ。
このあたりは一面赤茶色の岩で囲まれ、ほかにあるのは、小学校のプールほどの広さの藻のはった小さな湖だけである。
湖の深さは10mほどと意外に深く、湖底はレの字になっている。
遺跡の入り口はその湖底の壁にある。
入り口は上り階段となっており、階段を上れば水面から上に出れる。
俺たちはその洞窟の中の遺跡で作業していた。
この遺跡もまた一面赤茶色ではあるが、「岩」のような恐ろしく硬いものできており、複雑にいりくんだ、ちょうど遊園地の迷路のような通路に、奥にその「岩」のようなものを削ってできたらしい扉がある。
今現在ここについて判っていることは、それらが明らかに「自然に作られたもの」ではないと言う事実、そしてそのドアの向こうに未知の「何か」があるやも知れぬという可能性だけだった。
俺はその時父の言葉に無言でうなづき、まだ濡れる体で二つあるカンテラのうち一つと、採掘道具を水で濡らさない為の大型の袋を持って再び通路を引き返した。
地上はまだ明るかったが、ここに到着した時より日差しの向きは変わっているように感じた。
湖面を出た俺は、俺たちが乗ってきた軽トラックに向かって歩き出した。
「…ガガガガガガガ…」
湖からかすかに音が聞こえてきた。
水面がわずかに揺れている。
―始まったみたいだな。これは…まずガトリングガンで小手調べか…―
俺たちの目的は、遺跡の扉を壊すことにある。
普通の「採掘道具」では開けられないことは既に前に調査に来た者達が証明した。
今回俺たちは扉を「開ける」のではなく、「空ける」ために主に火器中心に持ってきた。
ガトリングの音は、俺がトラックの中の火器をあさっているうちにやんだ。
しばらくして「ドン、カーン」という音が聞こえた。
―次も弾丸…ライフルか。あの音だと軽く弾かれたってことか。…とびっきりの貫通力だったのにな。―
俺はグレネードランチャーとプラスチック爆弾を袋に詰めながらそう思った。
―ガトリングとライフル…今あそこにあるのはあと岩盤破壊用ダイナマイトか。てことは次は相当な音がこだまするな。―
案の定、袋を抱え湖に飛び込もうとしたときに「ドゥーン!」とすさまじい爆発音がした。
音がやむのを待ち、再び飛び込む姿勢をしたその時、
「ピー!ピー!ピー!ピー!」
先の爆発音にも勝るとも劣らない音量で、甲高い音が湖の底から刺すように聞こえた。
俺は思わず姿勢を元に戻した。
―なんだこの音は。―
「名前トIDなんばーヲ入力シテクダサイ!ピー!名前トIDなんばーヲ入力シテクダサイ!」
―名前?IDナンバー?何のことだ?―
「名前トIDなんばーヲ入力シテクダサイ!ピー!名前トIDなんばーヲ入力シテクダサイ!」
―…いったいこの遺跡はどうなっているんだ?―
湖底からの音はしばらくやまなかった。
同時に俺の体も金縛りにあったかのように動けなかった。
俺の体はかすかに震えていた。
湖底からの音はやんだが、それから少しの間も体は動かなかった。
しかし、ふと我に帰り、袋も持たずに急いで湖に飛び込んだ。
水の中でも、自身の体から冷や汗が出てくるのを感じずにはいられなかった。
遺跡内は暗かった。
不気味なまでの静けさだった。
そこには既に人はいなかった。
(2007年3月21日完成)
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